住宅ローンの仕組み
住宅ローンとは名前のとおり、「住宅購入のために利用できるローン」です。
購入する住宅を担保に住宅の購入資金を金融機関から融資してもらいます。
新築・中古に関わらず利用でき、単に物件だけでなく、土地の購入にも利用できます。
住宅ローンの金利について
次に住宅ローンの金利について解説します。
住宅ローンの金利は「固定金利」「変動金利」の2つに大別され、さらに固定金利には2つの種類があるため、金利は全部で以下の3種類に分けられます。
金利のタイプを適当に選んでしまうと、住宅ローンの返済額が変わることや返済計画が思い通りにいかなくなる可能性もあります。
自身にあった金利タイプを選択できるよう、ぜひ参考にしてください。
固定金利(全期間固定型)
全期間固定型の固定金利は住宅ローンを完済するまで一定の金利で返済を行うタイプです。
たとえば住宅ローンを返済期間35年、固定金利1.2%で利用した場合には、完済するまでの35年間、毎月1.2%の金利で返済することになります。
全期間固定型を利用するメリットは金利上昇のリスクがなく、安定した返済計画を立てやすいという点です。
完済まで金利が固定されるため、金利の動向を気にせず返済金額を毎月一定に保てます。
一方でこの後紹介する期間選択型の固定金利や変動金利と比べて、一般的に金利が高いというデメリットもあります。
全期間固定型の固定金利は、基本的に金利が1%以上であることがほとんどなので、低金利が続く場合には変動金利より返済総額が高くなってしまう可能性もあります。
固定金利(期間選択型)
期間選択型の固定金利は、ローンを利用してから一定期間は固定金利が続き、その後改めて固定金利型と変動金利型を選択するタイプです。
固定金利の期間を3年・5年・10年・15年などから選択でき、固定金利の期間が短い方が金利が低く設定されています。
期間選択型の固定金利のメリットは2つあります。
1つ目は、適用される固定金利が全期間固定型の固定金利よりも低く設定されているという点です。
全期間固定型の金利が1%台以上なのに対して、期間選択型の固定金利期間に適用される金利は 0%台(1%未満)であることが多いです。
もう1つのメリットは状況に応じて自由に固定期間を調整できる点です。
固定期間を上手く利用することで、金利の変動による返済の負担を軽減することができるため、収支計画が立てやすくなります。
たとえば、固定期間中に育児に伴い出費が多くなる時期とローンの返済期間が重なる場合などには、返済負担を軽減することで家計の圧迫を防ぐことができます。
一方で期間選択型のデメリットは、固定期間終了後に変動金利を選択した場合、通常の変動金利とは異なり、変動上限額に制限が設けられなくなるという点です。
そのため、金利が上昇すると返済金額が大幅に増える可能性もあります。
変動金利
変動金利は完済までの間、経済の動向に応じて金利が変動するタイプです。
半年に1度金利が見直され、金利の変動に伴い、月々の返済額も変動します。
ただし金利が変動したとしても、返済額への反映は5年に1回です。
また変更後の返済額の上限は1.25倍までと上限が設けられているため、月々の返済金額が大幅に増えるということはありません。
反対に金利が下がれば月々の返済額が下がる可能性もあります。
変動金利のメリットは 全期間選択型・期間選択型固定金利に比べて一般的に金利が低い点です。
2009年から2022年現在まで金利が最低水準で推移していることから、ほとんどの場合で金利が 0%台(1%未満)で住宅ローンを利用できます。
一方で変動金利のデメリットは、返済期間中に金利が高騰すると返済金額が増えてしまい、返済計画が崩れてしまう可能性がある点です。
とはいえ前述したとおり、返済額の変更の上限は1.25倍と決まっているため、月々の返済金額が大幅に増えることはありません。
住宅ローンの頭金とは?
頭金とは住宅ローンを利用する際に「自己資金で負担する金額」のことです。
5,000万円の物件を購入する際に、頭金を500万円用意できれば、残り4,500万円を借りることになります。
頭金を用意することで以下のようなメリットがあります。
●総支払額を抑えられる
●住宅ローンの利率が下がる可能性がある
借入額が大きい住宅ローンでは、少しの金利変動が返済額に大きく影響します。
総支払額を抑えられるため、できるだけ頭金を無理のない範囲で用意することをおすすめします。
また、頭金の金額によっては、住宅ローンの利率が下がり返済金額を抑えられる可能性もあります。
ただし利率を意識するあまり、頭金の用意に時間がかかりすぎてしまわないように注意しましょう。
なぜなら頭金を用意している間に住宅の価格が上がったり、住宅ローンの金利が上昇する可能性があるからです。
このような場合には、住宅購入の支払総額がかえって増えてしまう可能性もあります。
実際に住宅ローンを利用する際には家計や頭金以外の初期費用のことも考えて、頭金の金額や割合を決めましょう。
頭金以外にも住宅購入時の初期費用は以下のようなものがあります。
費用のカテゴリ | 費用 |
---|---|
住宅ローンに関する費用 | 事務手数料 保証料 火災保険料 契約用収入印紙代 |
登記に関する費用 | 登録免許税 司法書士への報酬 表題登記料 |
税金に関する費用 | 売買契約書の印紙税 固定資産税・都市計画税 不動産取得税 |
マンションに関わる費用 | 修繕積立基金 管理準備金 |
住宅購入の初期費用は以下の記事で詳しく解説しています。
購入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
住宅ローン控除について
住宅ローン控除とは、年末のローン残高の0.7%を所得税から控除する制度です。
控除期間は13年で、所得税から控除しきれない場合は住民税からも一部控除することができます。
住宅ローン控除の申請は住宅ローンを借入れる者が個人単位で申請します。
ただし、住宅ローン控除は以下のような条件があります。
● 自らが居住するための住宅であること
● 住宅ローンの借入期間が10年以上であること
● 所得金額が2,000万円以下であること※
● 引っ越しまたは完成後6カ月以内に入居すること
● 床面積が50㎡以上であること※
● 昭和57年以降に建築、または現行の耐震基準に適合していること
※参考:住宅ローン減税 – 国土交通省
※令和5年末までに建築確認を受けた新築住宅を取得する場合、所得金額1,000万円以下に限り、床面積要件が40㎡以上。
このほかにも条件がありますが、新築や中古でも条件が異なります。
住宅を購入する際には、事前に控除の条件に当てはまるか確認しておきましょう。
まとめ
住宅ローンは借入額が大きく返済期間も長くなる融資制度です。
そのため計画的な返済プランを検討することが重要です。
返済計画に大きく影響する金利タイプはどれが良いということは一概に決められません。
いずれの金利タイプを選ぶ場合でも、ご自身のライフプランを考えて無理のない返済計画を立てましょう。