コンパクトマンションとは?定義と特徴
コンパクトマンションとは「単身者やDINKsを主な対象としている、広さ30〜50m2ほどのマンション」を指します。明確な定義はありませんが、間取りは1LDK・2LDKが多く、ワンルームよりも広くファミリータイプより小さいマンションです。
そのコンパクトさから、ファミリータイプのマンションの建築が難しい駅近に建てられることが多く、利便性が高いという特徴があります。他にもコンパクトなサイズ感でありながら、ファミリータイプに匹敵するほど充実した設備を兼ね備えている物件も多いです。
コンパクトマンションの需要が増えてきた背景としては、未婚率の上昇や出生率の低下などにより、1990年代前半まで主流だったファミリータイプのマンションの需要が減ったことにあります。また、東京23区ではワンルームマンションの規制強化による、集合住宅の専有面積を制限する動きがより顕著になり、コンパクトマンションに需要が移りました。
コンパクトマンションのメリット
コンパクトマンションの人気が再来しているのは、単に「安いから」「立地がよいから」だけではありません。以下では、コンパクトマンションが人気な理由をご紹介していきます。
ファミリータイプよりも比較的リーズナブル
専有面積が小さいコンパクトマンションには、「比較的安価で購入できる」という大きなメリットがあります。ファミリータイプよりも小規模であるため、同じ立地で比較すると、価格が安いという傾向があります。ローンの組み方によっては、賃貸と比較しても毎月の支払いが安くなる可能性もあります。
一方で「生活スペースが狭いのでは?」という懸念があるのも事実ですが、近年では十分な収納を設けて生活スペースを確保し、快適に暮らせるコンパクトマンションが増えています。ファミリータイプに負けない高機能設備や先進のセキュリティシステムを備えているため、コンパクトながら快適な生活空間を楽しめるのです。
コンパクトだからこそ暮らしやすい
なんとなく「家は広ければ広いほうがいい」と思っていませんか? 家族構成や生活スタイルによって適した居住面積は異なるため一概に言い切ることはできませんが、広い家を持て余し、「掃除が大変」「光熱費が高すぎる」と悩んでいる方も実際は多くいます。
とくに子供が独立した60代以上の方の場合、これまで暮らしてきた戸建てやファミリータイプのマンションに対して、「夫婦2人では広すぎる」と感じることも少なくないようです。
こうしたケースでは、コンパクトマンションに住み替えることで掃除も楽になり、光熱費も節約できます。また、コンパクトマンションの多くは駅近にあり利便性が高いので、老後の暮らしやすさにもつながるでしょう。
利便性の高さ
職場の近くに住む「職住近接」は、多くのビジネスパーソンが憧れるライフスタイルといえるでしょう。面積が小さく価格を抑えられるコンパクトマンションであれば、利便性の高い都心部に居を構えることが可能です。
職場から近い場所に住めるだけでなく、駅の近くに住むこともできるため、生活しやすい環境に身を置けるという点も大きなメリットでしょう。
資産価値がある
コンパクトマンションは、前述のように「将来のライフスタイル」に合わせて柔軟に使い方を変えることができます。独身時代に購入したものを、新しい家族ができたら売却して新居購入の頭金に充てる。もしくは賃貸物件として入居者を募り、家賃収入を得る。まさに「住んでよし、売ってよし、貸してよし」のマンションといえるでしょう。
また、コンパクトマンションは比較的資産価値を保ちやすいとされています。駅近物件が多いため利便性が高く、近年では首都圏を中心に単身・DINKs世帯数が増え、賃貸物件の需要が高まっていることがその理由と考えられます。このようにコンパクトマンションは、実際に住む人にとっても投資家にとっても需要が高まっているのです。
コンパクトマンションはこのような方におすすめ
コンパクトマンションはその利便性の高さから、さまざまな方におすすめです。ここからはどのような人にコンパクトマンションがおすすめなのかを紹介していきます。
シングル
現在、賃貸で一人暮らしをされている方のなかにも「毎月の家賃を支払うのがもったいない」「せっかくなら資産になる分譲がよい」とお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか?コンパクトマンションはそういった方にもおすすめです。
分譲マンションは高いというイメージをお持ちの方も多いかもしれません。ですが、コンパクトマンションであれば、ファミリータイプよりも低価格で購入できるため、月々のローンの支払いを賃貸の家賃並み、もしくはそれ以下に抑えられる可能性もあります。返済計画にも余裕を持たせることができ、資産価値を保ちやすいので結婚や転職、転勤を機に売却することも可能です。
DINKs
コンパクトマンションはDINKsなどにもおすすめです。DINKsの場合、ファミリータイプのマンションだと大きすぎて持て余してしまう可能性も。しかし、コンパクトマンションであれば、ファミリーマンション並みの設備があるため、ちょうどよい広さで充実した生活を送ることができます。
例えば、ダイニングテーブルの代わりにもなるキッチンカウンターや、最大限の収納力を発揮できる洗面台など、実用性にこだわったデザインが共働き夫婦の暮らしをサポートしてくれるでしょう。
また、共働きであるため、駅近に住んで少しでも通勤にかかる無駄な時間をなくしたいと考えていらっしゃる方が多いです。前述のとおり、コンパクトマンションは駅近で利便性が高いことから、通勤時間を最小限に抑えて生活ができるため、夫婦の時間を長く楽しむことができます。
シニア
移動が大変だと感じるシニアの方にもコンパクトマンションはおすすめです。年齢を重ねると自宅から駅までの移動や、買い物や通院などの移動が大変だと感じることも増えてきます。
駅近のコンパクトマンションであれば、移動を最小限に抑えることができるため、比較的楽に生活を送ることが可能です。足腰の調子が悪くなってきた方や、車の運転が不安になってきた方などは、コンパクトマンションを選ぶことで、より充実した生活を送ることができるでしょう。
資産運用したい人
将来の生活のために資産運用をしたいという方も、コンパクトマンション向きです。コンパクトマンションは駅近で利便性が高いため、資産価値を落とすことなく賃貸に出したり、売却することが可能です。
好立地の物件は需要が高いため、空室に悩む心配もないでしょう。単身者やDINKsが増加傾向の昨今では、それにともなってコンパクトマンションの需要も増えると考えられるため、資産運用したい方にもおすすめです。
コンパクトマンション購入の際の注意点
魅力的な点が多いコンパクトマンションですが、購入時には注意したい点もあります。自身が望む生活を実現するためにも併せて確認しておきましょう。
住宅ローン控除対象は条件がある
住宅ローン控除を受けるためには、いくつかの条件があります。たとえば、コンパクトマンションの面積によっては、住宅ローン控除の対象にならないことがあります。
住宅ローン控除を受けるには、登記簿面積が40m2以上の物件でなければなりません。登記簿面積とは、その名のとおり物件の登記簿に記載されている面積を指します。インターネットやカタログに掲載されている専有面積とは違うため、事前に確認しましょう。
また、2021年4月の税制改正前は「50m2以上」の物件が対象でしたが、改正後は「40m2以上」になり、より利用しやすくなりました。住宅ローン控除を利用したい方は、登記簿面積が住宅ローン控除の規定を超えているかを必ず確認しましょう。
さらに住宅ローンは2022年にも、控除期間の延長や控除率の改定などの税制改正が行なわれています。
住宅ローンについて詳しく知りたい方は、以下の記事もぜひ参考にしてください。
「終の棲家」にならないことが多い
コンパクトマンションの特徴は、面積の小ささや価格の低さです。ライフスタイルの変化に合わせ、柔軟に用途を変えられるという点が魅力です。しかしその一方で、こうした特徴からコンパクトマンションは「終の棲家にならないことも多い」と言われます。
そのため、「結婚して子供が生まれた」「転勤する」といった人生のターニングポイントで売却するのか、それとも賃貸物件として貸し出すのか、事前にしっかり計画しておくことが必要です。コンパクトマンションを貸し出す場合には、単身者向けのワンルームマンションより家賃が高くなる場合がほとんど。そのため、条件によっては居住者が見つかりにくいということもあります。
コンパクトマンションはファミリーマンションに比べれば賃料が安価で、駅近の物件が多く、立地面でのアドバンテージが大きいため、空室のリスクは比較的少ないといえるでしょう。「なるべく会社の近くに住んで、通勤の負担を減らしたい」というビジネスパーソンのニーズに応えることができれば、借り手は見つかりやすいでしょう。
コンパクトマンションは売れないのか?
コンパクトマンションを検討するにあたり、将来的に売れるのか?と懸念されることがありますが、むしろ今後さらに売りやすくなると考えられます。
売却できないのではないかと懸念される理由としては、新築一軒家やファミリータイプのマンションと比較して「設備面で劣っている」「管理体制が悪い」と思われてしまうことがありますが、実はそんなことはありません。
コンパクトマンションは購入者が自身で住むことを想定されているケースが多いため、一軒家やファミリータイプより設備が劣っていることは少なく、むしろ充実している場合もあります。また、管理体制もファミリータイプと遜色ないため、これらの理由でコンパクトマンションが売れないというのは早計です。
前述したとおり、未婚率の上昇や出生率の低下により、世帯人数は減少傾向にあります。今後も世帯人数の少ない世帯が増えると予想されるため、コンパクトマンションの需要は上昇すると考えられます。
売れるコンパクトマンション選びのコツ
将来的に売却も視野に入れているのであれば、資産価値が高いマンションを見極めなければいけません。資産価値が高いマンションを選ぶことで、買い手が見つかりやすく、売却金額も高くなります。
マンションの資産価値はいくつかの要素で複合的に判断されますが、そのなかでも立地の影響は大きいといえるでしょう。マンションから駅までの距離や駅の利便性、周辺環境などがよいマンションを選ぶことが重要です。
立地のほかにも部屋の広さや住み心地、マンションの希少性なども資産価値に影響します。資産価値については以下の記事で解説しています。より資産価値の高いマンションを選ぶためにも、ぜひ参考にしてください。
コンパクトマンションのインテリアのコツ
コンパクトマンションをより広く使うためには、いくつかのコツがあります。できそうなものを実践することで、すっきりとした空間を演出できるでしょう。
・家具を絞る
・背が高い家具は入り口付近に置く
・フォーカルポイントを作る
など
まずは不要な家具を置かないことです。自身は必要だと思っていても、実はあまり使っていない、1つの家具にまとめられるといった状況は意外と多いものです。
また、背が高い家具は入り口付近に置き、入り口から遠い場所には背が低い家具を置くことで、遠近法で部屋をより広く見せることができます。
さらに入り口の対面にフォーカルポイント(目線を集める場所)を作ることも効果的です。絵を飾ったり、カーテンを特徴的なものにしたりすることで、そこに視線を集めて部屋に奥行きが感じられるようになります。
関連記事:「フォーカルポイント」を意識した部屋づくり
まとめ
マンションは人生の中でも大きな買い物になるため、購入の際はご自身のライフプランにあっているかを検討して購入を考えましょう。
コンパクトマンションは時代の流れにより需要が高まっている魅力的なマンションです。ファミリータイプよりもコンパクトではありますが、低価格で購入することができ、駅近で利便性が高いという特徴があります。
コンパクトマンションの需要は今後も増加すると考えられるため、将来的に売却や賃貸に出すことも可能です。ご予算のなかでよりよい生活を実現するために、コンパクトマンションという選択肢も検討してみてはいかがでしょうか。