日本の夏、住まいに“涼”をいかす
日本では住まいづくりに、夏を意識した方がいいと言われます。
それほどに、日本の夏は蒸し暑い季節。今はクーラーや扇風機などがありますが、昔の人はちょっとした道具で涼しさを演出していました。例えば、うちわや風鈴、日よけのすだれ、打ち水…。今も使われているこれらの道具類は、科学的根拠に裏付けされたものであると同時に、日本人の美意識に響いて、暑さを忘れさせてくれます。
昔ながらの道具をうまく活用しながら、現代の感性をいかして、盛夏をのりきる部屋づくりを紹介します。
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部屋に、風の通り道をつくる
湿気を含んだ暑さをやわらげるには、風を上手にとりこむと効果的です。
そのためには、背の高いスタンドなどを避け、ラグや円座などを利用して床に座るようなロースタイルを意識しましょう。 基本的に、冷たい空気は下の方に集まるからです。
また、吸湿作用や通気性の高いイグサやアシ、竹などを使ったすだれなどは、遮光と風通しを両立させた優れモノ。直射日光が当たる部屋に比べて、室温が数度ダウンします。見た目にも涼しい雰囲気が、気持ちをさわやかにしてくれるでしょう。
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寒色系のカラーコーディネートで、涼を感じる
ラグ、カーテンなど部屋のイメージを決定するようなファブリック類の色は、季節によって変えるのがオススメです。
夏には、寒色系を意識したコーディネートで涼しさを演出して。
例えば、海をイメージさせる明るいブルーやホワイト、アクセントとしてひまわりをイメージさせるイエローなどを取り入れてもいいでしょう。基本的には、同じトーンでまとめるのがコツ。見た目の涼感がぐっと高まります。
柄を取り入れたいなら、無地と組み合わせてうるさくならない工夫を。
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涼を誘う、ちょっとした小物使い
インテリア小物の質感や音でも、涼を得られる方法があります。
例えば、代表的なのが夏の風物詩でもある風鈴。ガラス製や鉄製など、材質によって涼やかな音色もさまざま。風の動きが、澄んだ響きをひきだすしかけは、昔から変わらない涼の取り方です。
また、ファブリック類に麻の布を使ったり、ラグの素材をイグサや竹など和風素材に替えれば、熱がこもりません。ベッド周りに麻の素材を利用すれば、夜の寝苦しさも緩和されます。
食器類や、ちょっとした小物をインテリアに取り入れるなら、ガラスにこだわるのもひとつの手。ひんやりとした素材感と透明度が、気分をクールにしてくれます。